クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管/「マーラー「大地の歌」学生時代までは、1年のうちで今の時期が一番好きだった。クリスマスから正月にかけての浮き立つような雰囲気と、なによりも学校が休みなのが嬉しかったのだ。
会社勤めをしている今でも年末年始が休みなのは変わらないが、クリスマス・プレゼントにしてもお年玉にしても、最近は支出のほうが圧倒的に多いわけで、あまり愉快ではないのである。また休みといっても歳を重ねるごとに1日の過ぎ去る時間が短くなってゆくものだから、正月休みが明けるのは早い早い。
ズルズルダラダラと酔っ払っていたかと思えば、もう出社の朝になってしまうものだから油断できない。
休みの時間というのは本当に短いものである。無常を感じるのだ。
無常といえば「大地の歌」(無理やり)。
クレンペラーのこの有名な録音は、歌手を聴くべきものだとよくいわれる。オーケストラはときどきミスもあるし、言われてみれば今ひとつやる気がないように聴こえる。でも今回聴いてみると、オケもそう悪くはない。
終楽章のオーボエやフルートの虚無的な響きは、なんともいえない味がある。
確かに全体に厚みというかふくよかさは感じられないが、室内楽的な精緻さを達成しえているので、これはこれでひとつのやり方である。
クレンペラーという指揮者は普段から覇気のある演奏をする芸風ではないので、いつもどおりといえばそれまでであるが、特にこの曲に対しては伴奏に徹しているのかもしれない。なにしろ歌手が良すぎるから。
2人の歌手は素晴らしすぎて参る。いまさら言うまでもないことであるが。ヴンダーリヒは安定感と深みがあり、声量、輝かしさも申し分ない。ルートヴィヒは、やや暗い暖色系の声でもって、情感たっぷりに広がりのある音楽を紡ぎあげている。
今の気分でマーラーの演奏家ベストスリーを選ぶとしたら、ショルティ、バーンスタイン、ルートヴィヒ、ということになる。褒めすぎか。
この演奏には、濃くて渋めのカベルネで。★音楽blogランキング!★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
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