カラヤン指揮ミラノ・スカラ座、他の演奏で、マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」を聴きました(1965年、ミラノ・スカラ座での録音)。
この曲の副題は「1幕のメロドラマ」となっていますが、それにしては激しいお話です。それに比して、音楽は副題のイメージ通りと言えましょう。たっぷりと生クリームをあしらったモンブラン・ケーキのよう。カラヤンのリードがまた、そんな味わいを強調するようにできている。
実はこのCD、ジャケットをろくに見ないで聴き始めた。恥ずかしい話ですが、ベルリン・フィルかと思った。それほど、ここでのスカラ座管弦楽団の響きは分厚いのです。14型くらいあるんじゃないか。あるいは編成よりも弾き方が違うのか。謎です。
このオペラはわりとオーケストラだけのシーンが多いので、まずそうしたことを書きましたが、歌手も魅力的。
コッソットはほんのりと品のいい色香を放ち、薄幸の恋人を歌い上げており素敵。声と役どころがピッタリと合っているように思います。
ベルゴンツィは、たっぷりとした抑揚ある輝かしい声でもって、精力ある若者を演じきっていて、こちらもイメージ通りだなあ。グェルフィの怒りの歌も見事。こう言うと語弊があるかもしれませんが、復讐劇はスッキリする。
ミラノ・スカラ座の現監督であるリッカルド・シャイーは「この作品の解釈が『カラヤン以前』と『カラヤン以後』で分かれるようになった」というようなことを云ったそうで、私は「以前」をまだ聴いていないのでなんとも言えません。だけど、凡百の音楽評論家ではなくシャイーが云うところに、信憑性があるような気にはなります。
フィオレンツァ・コッソット(サントゥッツァ)
カルロ・ベルゴンツィ(トゥリッドゥ)
マリアグラツィア・アレグリ(ルチーア)
ジャンジャコモ・グェルフィ(アルフィオ)
アドリアーネ・マルティーノ(ローラ)
ミラノ・スカラ座合唱団
PR