東京クァルテットの演奏で、ハイドンの弦楽四重奏曲77番「皇帝」を聴く。
この団体を気にし始めたのは、この数年のこと。気がついたら、解散していた。間が悪いことこの上ない。
モーツァルト、ベートーヴェン、そしてこのハイドンを聴いたが、世界に名だたる四重奏団に劣らない。特にベートーヴェンに関しては、バリリSQ、ブダペストSQ、ジュリアードSQ、イタリアSQ、ラサールSQといったところと比べても、バランス感の良さ滑舌の良さでは、東京が勝ると思う。
自然なテンポ、確かな音程、明るい音色、とてもいい。
私見では、日本が世界に誇るクラシック音楽家のなかでは、武満、若杉、ミドリ、内田、庄司、小澤、藤村らを抑えて堂々のナンバーワンなのだ。
このハイドンもいい。ハイドンの四重奏は一時期、変な演奏を聴いてツマラナイ曲だと誤解していた。
でも彼らの演奏で聴くと、高度に知的でありつつ、じっくりと愉悦にも浸れる音楽だ。格調高い。
東京クァルテットは、丸谷才一の下世話な小説のモデルともされているが、誰だって私生活に問題を抱えているもの。
今は残されたディスクをありがたく聴くばかりである。
原田幸一郎(第1ヴァイオリン)
池田菊衛(第2ヴァイオリン)
磯村和英(ヴィオラ)
原田禎夫(チェロ)
1978年6月、ニューヨーク、コロンビア30番街での録音。
朝。
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