栃木は鬼怒川温泉の近くに、「東武ワールドスクエア」という
テーマパークがある。
世界の遺跡や建築物の、ミニチュア博物館みたいなところだ。
古くはピラミッドやスフィンクスから、サン・ピエトロ寺院、
サグラダ・ファミリア、アジアからはアンコール・ワットなど、
アメリカはエンパイア・ステート・ビル、そして日本の東京駅
や金閣寺など、多くの展示物がある。
それぞれの作りがとても精巧にできている。
通行人や電車や車など、周辺の装飾もたいへん細かくできていて、
ジオラマ・ファンでなくとも楽しめるテーマ・パークだ。
サン・ピエトロ寺院(東武ワールド・スクエア)これらのいくつかに、BGMが流れている。
全部の展示物にBGMをつけると、音がごちゃまぜになって、
わけがわからなくなってしまうから、適当に場所が離れている
展示物にBGMがついている。
その展示物のひとつに「アルハンブラ宮殿」があった。
ギターのトレモロが、悲しげに響いている。
どこかの団体ツアーの酔っ払いオヤジ連中が、赤ら顔で一瞥し、
「スペインの音楽は寂しげだねー」とかなんとか騒ぎながら、
過ぎ去っていった。
確かに、寂しげな音楽だ。
酔っ払いオヤジの感覚は、正しい。
音楽が建物に溶け合っていて、数分間立ち止まったものだ。
アルハンブラ宮殿後日、この音楽を無性に聴きたくなって、池袋のHMVへ行った。
同じスペイン物だということもあって「アランフェス協奏曲」との
カップリングが良かろうと思い、ジョン・ウィリアムスと
オーマンディとの組み合わせによるCDを購入して聴いてみた。
ところが、あの音楽がどこにも見当たらない。
ギターのトレモロの美しいあの音楽を「ある貴紳のための幻想曲」
だと思い込んでいたのである。
まったく、困ったもんだ。
これでは気がすまない。
数週間を経てその挫折を乗り越え、再度池袋に立ち寄り、長時間に
わたる厳密な検証(?)の末、この盤に決めた。
ペペ・ロメロ/ギター名曲集ここでソロを弾くペペ・ロメロは、ロメロ一家の長男で、父親を
含め兄弟4人でのギター四重奏団で活躍したのち、やがてソロと
して独立した演奏家だ。
昔から名前は知っていたが、キチンと聴くのはこれが初めてかも
知れない。
バッハのシャコンヌから「禁じられた遊び」まで、様々な小曲が
収められたCDの中で、やはり「アルハンブラの思い出」がいい。
甘く切ないトレモロの響きに身をゆだねて、何度も繰り返し聴く。
ついでに、ウィスキーも何度もおかわり。
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