コダーイ 無伴奏チェロソナタ ヨー・ヨー・マ(Vc)中日、初の連覇。
ふだん、仕事やらなにやらで忙しいと、プロ野球の成績なんてどうでもいいや、なんて思うことがある。今年も、そんなふうな時期があったが、こうしてペナントレースを制してみると、感慨深いものがある。最後のヤクルトとの4連戦を勝ったときに事実上決まったが、正直言って、意外だったし、興奮した。
優勝が決まった後のいま、じわじわと二度三度おいしい。
八面六臂の浅尾のMVPに異論はないが、荒木のガッツプレーにも強く心を惹かれたなあ。
ということで、コダーイのチェロソナタで余韻に浸る。
マのチェロは深みより広がり重視だ。
何人かの手練によって奏されているかのよう。ひとりの手によるものとは思えないくらいに、音が多いし、空間が大きい。
このコダーイもそうで、実に広々とした響きだ。低音を出す弦楽器といったイメージを超えた闊達さを感じる。
この曲はチェロの独奏曲のなかでも難曲とされているが、マの手にかかると、気軽に弾いているように思える。簡単な曲に聴こえるところが、なんだかコワイ。そういう点では、ヴァイオリンのパールマンと似ているかもしれない。芸術性とかなんとか云々より以前に、うまい。名人だ。チェロを鳴らせたら右に出る者はいない。まず技巧ありき、そのあとの解釈はどうとでもなるよと、この男は宣言しているようだ。自信に満ちた貫禄がある。
1999年2月、6月、ニューヨークでの録音。
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