オーマンディ フィラデルフィア管弦楽団 20世紀の音楽 林真理子の「下流の宴」を読む。
これは、中卒でフリーターの息子とお嬢様学校を卒業して一流企業に勤めている娘を持つ母親の悩みを描く小説。
20歳の息子が22歳の田舎娘と結婚しようと言いだしたときに話は動く。母親から身分の違うことを指摘されて逆上した田舎娘は、一念奮起して医者を目指す。2年の浪人生活を経て受けた医学部の合否は・・・。そして、その結果訪れる結末は、いかにも現代風。
楽をしたいからフリーターに甘んじようとしても、周囲はなかなか許してくれない。その一方で、一流大学を出て大企業に勤めていても挫折がある。
面倒な世の中だ。
オーマンディの「カルミナ」は輝かしいくらいに明るい。
打楽器、金管楽器、木管楽器に弦楽器、さらに混成合唱と独唱が、一丸となってまばゆく響く。
「カルミナブラーナ」といえば、重厚なヨッフムや切れ味のレヴァイン、厚みのムーティに勢いのシャイーといったあたりの演奏が記憶に残っている。
このオーマンディ盤は、黄色い太陽の下で、フリチンの男たちと乳房をあらわにした女たちが、自然な欲望のままに踊ったり歌ったりまぐわったりしているようなところを想像する。カラッとしていて、いやらしさがない。
この明るくて大ぶりな演奏は、「カルミナ」の多くの録音のなかでも、特に印象的なもののひとつになりそうだ。
ヤニシュ・ハルシャーニ(ソプラノ)
ルドルフ・ペトラク(テノール)
ハルヴェ・プレスネル(バリトン)
ニュージャージー州立ラトガーズ大学合唱団
1960年4月、フィラデルフィア、ブロードウッド・ホテルでの録音。
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