マルクス・アウレーリウスの「自省録」から。
「君の全生涯を心に思い浮かべて気持ちをかき乱すな。どんな苦労がどれほどの苦労が待っていることだろう、と心の中で推測するな。それよりも一つ一つ現在起ってくる事柄に際して自己に問うてみよ。『このことのなにが耐え難く忍び難いのか』と。まったくそれを告白するのを君は恥じるだろう。つぎに思い起こすがよい。君の重荷となるのは未来でもなく、過去でもなく、つねに現在であることを」(第8巻36)。
翻訳はもちろん、癩病施設で精神科医として働いていた神谷美恵子。いつも、とても読みやすい。
バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの演奏で、オネゲルの「夏の牧歌」を聴く。
弦楽器のしなやかな調べに乗って、ホルンがおおらかな旋律を歌う。かすかにかかるヴィブラートが美しい。しっとりとしていて、まろやか。今のニューヨーク・フィルでもこのホルンは聴けるだろうか。
全体を通じて、とてもゆっくりといた音楽。あくせく働いたあとには、じんわりと心に効いてくる。
題名をきかないで「どの季節か?」と問われたなら、夏と答えるしかないだろう。
ホルンの音は太い。ずっしりとした重さがあり、少し叩いたくらいでは揺るがないような安定感がある。最後に流れるクラリネットも、重厚だ。夏は夏でも、これは晩夏ではないかな。
曲の雰囲気はディーリアスの「フロリダ組曲」に似ていると感じる。
作曲の褒美は、ビールの飲み放題。
私が音楽を書けたなら、そんな報酬はアリだな。
1962年10月、ニューヨーク、マンハッタン・センターでの録音。
休憩。
重版できました。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR