R・シュトラウス「ドン・キホーテ」ライナー指揮シカゴ交響楽団 ヤニグロ(Vc)関根勤の「バカポジティブ」を読む。
著者はタバコも酒もやらないらしい。それは、健康のためということもあるけれど、大きな理由は性欲が減退するからだという。
一生のうち、仮に1万回SEXをするとする。けれど、タバコを吸うとマイナス千回、深酒をするとマイナス千回というように、目減りしていくとのこと。心肺機能や肝機能が低下することが原因だという。
そこで著者の名言。
『オレはニコチンよりチンチンをとる!』
なるほど、ポジティブである。
R・シュトラウスの交響詩のなかで「ドン・キホーテ」は好きな曲だ。冒頭から、やたらといきりたっている「ツァラ」や「ドン・ファン」もいいけれど、この曲の牧歌的ユーモアと細心の気遣いが感じられる技巧に魅力を感じるのだ。
ひとつひとつの旋律は息が短くて、またたくまに曲がどんどんと過ぎ去ってゆく。編成は大きいのにも関わらず、全奏のシーンは少なくて、どちらかといえばチェロやヴィオラや管楽器が入れ替わり立ち代り自己主張してゆく様が面白い。登場人物の多い上等のミステリーのように役者が輝いている。
なかでもヤニグロのチェロはいい。強すぎず弱すぎず、洗練された響きと味わいがある。音の密度が濃厚なのに重くない。バランスが絶妙だ。
オーケストラでは弦がいい。ピチカートが一糸乱れず鳴る渡るところはききもの。ピチカートといえば、チャイコの4番でのムラヴィンスキーや、ブラームス4番におけるマゼールがすごいと思っていたが、このライナーも負けていない。バチを絞ったティンパニのように、ずっしりと、短く鳴るのである。
それから総じていいのは木管楽器だ。オーボエ、クラリネット、ファゴットはとてもつややかであり、触ると押し返してくるような弾力感がある。
1959年とは思えないほど鮮明な録音が、名演奏に拍車をかけている。
1959年4月、シカゴでの録音。
PR