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ハリーとトント、マゼール、英雄の生涯

2011.12.03 - R・シュトラウス
 
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R・シュトラウス「英雄の生涯」 マゼール指揮クリーヴランド管弦楽団


ポール・マザースキー監督の「ハリーとトント」を観る。冒頭のクレジットや映像の雰囲気は、いかにも70年代前半のアメリカ映画。
区画整理のためアパートから立ち退かざるを得なくなった老人が、ペットの猫と一緒に旅をする話。観ているときは正直言って少々退屈だったのだが、1週間経ってみると、各場面がけっこう鮮明に頭に焼き付いている。不思議な味わいのある映画。






マゼール箱からは「英雄の生涯」。これは1回目のセッション録音で、クリーヴランド管との演奏。レコードアカデミー賞をとるなど、日本での評価も高かった。一切の贅肉をそぎ落とした筋肉質のサウンドは輝かしく、雄渾である。ことに、戦場の場面におけるクリーヴランド管の冷徹なまでの機動力はすさまじく、そそり立たないわけにいかない。

本ボックスのジャケットイメージ。これがオリジナルとされている。

helden



日本盤の図柄。こちらのほうが洒落ているな。

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1977年1月、クリーヴランドでの録音。
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Comment

吉田さま、おはようございます - Yuniko

マゼール&クリーヴランド管との「英雄の生涯」、すごくいいですね。
私をクラシック音楽に導いてくれたのがカラヤン&ベルリンpoの「カルメン&アルルの女」なら、クラシック音楽の深みに引っ張ってくれたのが、この「英雄の生涯」でした。初めて聴いた時は、打ちのめされました。オーケストラでここまでいろいろな音が出せるのかと・・・。「英雄」の雄渾さ、「英雄の敵」の卑小さ、「英雄の戦い」の壮絶さ・「英雄の引退と完成」の寂しさ。本当にこの演奏を聴き込んだものでした。
私と同じくクラ好きでカラヤン好き、しかしマゼール大嫌いな友人がいましたが、彼もこの演奏だけはベタほめでした。日本盤のライナーノートを書いていたのは、宇野攻芳氏でしたが、彼も手放しでほめていましたね。「だぶついた演奏をしながら音色だけを地味にしているシュトラウス自作自演とは、次元が違う」「古典という明晰な光が差している」という彼の文を、今でも覚えています。
マゼールはのちにバイエルン放送響と再録音していますが、演奏・録音とも断然こちらを取ります。もっとも、バイエルンとの録音もかつてレコードアカデミー賞の候補(1999年度管弦楽曲部門)になっており、こちらもいい演奏なのでしょうが・・・。
この演奏、1990年代の半ば頃までソニーのベストクラシックで出ていたようですが今は廃盤。中古でもぜひ入手したいと思っていたところ、マゼール箱での復活でした。
マゼール箱には明記されていませんが、この演奏のセッションは1977年の1月で、幻想交響曲と同じセッションです。プロデューサーはソニーのアンドリュー・カズディンで、これも幻想と同じ。そのせいか、サウンドの傾向も音楽作りも共通したものがあるように感じます。
吉田さまは、マゼールのクリーヴランド管時代を「狂気じみた細かさ」と評されていますが、まったく同感です。幻想&英雄の生涯あたりがその頂点のように思います。同じマゼール箱のベートーヴェン交響曲全集にもその傾向が感じられますが、80年代録音のチャイコフスキー後期交響曲あたりから、余裕を感じさせる音楽作りに変わってきているように思います。
日本盤の甲冑姿の騎士ジャケットもステキでしたね。デザインは辰巳四郎氏、裏ジャケットの「英雄の生涯」タイトル揮毫は、なんと岡本太郎氏でした。宣伝ポスターにはやはり岡本太郎の「男は誰もが英雄になりたがっている」という言葉が添えられていました。マゼール&辰巳四郎&岡本太郎とは、なんともすごい狂気の(ほめ言葉です)組み合わせです。この時代、ショルティの「惑星」のジャケットデザインは横尾忠則、メータの「展覧会の絵」のジャケットデザインは粟津則雄と、今では信じられないくらいの音楽と美術のコラボが実現されていたことに驚きです。
制作者名は分かりませんが、バーンスタインの「革命」の首と手足のない全裸の男の背後に広がる赤茶けた荒野を兵士が進軍しているジャケット(1979年東京ライヴ)や、マゼール&クリーヴランドの「ドン・ファン、ティル、死と変容」での冷たい月夜にそそり立つ枯れた巨木を全裸の女がよじ登っているジャケットも名作でした。
2011.12.04 Sun 07:01 [ Edit ]

Re:Yunikoさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

マゼールとクリーヴランド管との「英雄の生涯」、久々に聴いたのですが、やはりいいものです。緻密さに加え、スケール大きな広がりも併せ持っている名演ですね。

宇野攻芳氏がマゼールをほめているとは珍しいですね。シュトラウス自作自演はともかく(なんて、聴いたことはないのですが…)カラヤン、ショルティ、ベームなどいろいろすぐれたものがあるなかでマゼールをとってくれるのは、ちょっとうれしいです。
バイエルン放送響とのものはまだ聴いていませんが、楽しみです。ピッツバーグとのシベリウス1番と、バイエルンとのイタリア奇想曲は聴いてみました。やはり、クリーヴランド時代のスタイルとはいささか異なっているようですねえ。
幻想交響曲と同じセッションなのですね。言われてみると、音の肌触りが似ているように感じます。カズディンは、当時マックルーアと並ぶプロデューサーだったと記憶します。なんだかんだとお世話になっていますよ^^
正直言って、最近のマゼールを多く聴いていないのですが、70年代のクリーヴランド管時代は、彼のひとつの活動の頂点だったのじゃないかと見ています。そういう点でこのマゼール箱でバイエルンやピッツバーグとの演奏を今回聴いてみて検証(大げさ)してみたいと思っています。

ああ、タイトルの揮毫は岡本太郎だったですね。勢いある太い毛筆の字は印象的でした。
なんかすごくお金がかかっていそうな…。いまではちょっと考えられないですね。
ショルティの「惑星」のジャケットデザイン、覚えています。フシギな色彩のシュールな絵、これも記憶にあります。メータの「展覧会の絵」はどんなだったかな?
CBSでは、ちょっと古いけどセルの「キージェ中尉」やバーンスタインの「春の祭典」のジャケットも好きでした。
2011.12.04 17:55
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