ケンペ指揮シュターツカペレ・ドレスデンの演奏でR・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」を聴きました(1973年1月、ドレスデン、ルカ教会での録音)。
この曲をヨーロッパ貴族社会没落の象徴とみる意見をたびたび見聞きしてきました。そうすると、やはり独墺系の指揮者・オーケストラの演奏が相応しいと考えることは容易です。でも、今までいつくかのディスクを聴いたなかで気に入ったのはオーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団のもの。豪奢で分厚い響きに、ヨーロッパの爛熟した芳香を感じるのです。
このケンペ盤は初めて聴きました。
期待通り、とてもいい。弦のフレージングは柔らかく、響きは練絹のよう。いくぶん速めのテンポで進んでいくので、濃厚すぎない。いたって自然であり、あざといところは微塵もありません。
神保町のミロンガでビールを飲みながら聴いていますが、随所で痺れます。
パースのビッグムーン。
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