【ラ・フォル・ジュルネ】エンリコ・パーチェのリサイタルを聴きました(2018年5月3日、国際フォーラムG409にて)。
ブログ仲間からこのピアニストの好評を聞いていたので、かねがね生で耳にしたかった。いままで「ラ・フォル・ジュルネ」に来ていたのかもしれないが、今回初めて見つけて足を運んだ次第です。
演目はリストの「詩的で宗教的な調べ」抜粋。「巡礼の年」を凝縮したような佇まい。内省的なところもあるし、激情的な部分もあって多彩。
全10曲のなかから、「祈り」、「死者の追憶」、「眠りから覚めた子への賛歌」、「葬送曲」、「愛の賛歌」が取り上げられました。それはあたかも5楽章制のソナタのよう。構成力も緊密であり、とても緊張感のあるひとときを過ごせた。
名演でした。
パーチェの音は、硬質。快晴の日の水平線のように、クッキリとした輪郭がある。そのうえフォルテッシモでも濁らない音色は、何年かまえに聴いたレーゼルのピアノを思い出しました。
沈静したシーンから動きの大きなところへ推移するところは、大きな弧を描くようであり、いたって自然でありながら、デモーニッシュなまでに劇的な力の強いものだった。それはとりわけ、ショパンの死をモチーフにしたとされる「葬送曲」で顕著になっていたと感じます。
あと特筆すべきは彼のテクニックの高さ。50数分のなかで、わかるかぎりミスタッチは皆無でした。
パースのビッグムーン。
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