藤原歌劇団によるロッシーニ「ランスへの旅」公演に足を運びました(2019年9月7日、新国立劇場にて)。
このオペラのことを以前に書きました。詳細なストーリーはあってないようなもの。だから、ロッシーニは自在に歌を編めたし、聴き手は無心のような状態で歌を集中して聴くことができると思っています。
そのせいか(もしかしたら、曲が先で台本があとかもしれない。いずれにせよ)ロッシーニはひとりひとりの歌手に高い技巧を要求していると思われ、それは素人にも薄っすらとわかります。
ソリストは全て、自身の力のありったけを歌にぶつけていたように感じます。手に汗を握る場面もありました。なかでは、砂川さんの細やかなソプラノと、中島さんの馥郁たる香りがするアルト、そして小堀さんの、真っ直ぐなテノールの気持ち良さが印象的でありました。
園田さんという指揮者は、個人的にブッファの手練れだと思っているけど、ここでも小気味よかった。ロッシーニ・クレッシェンドは実に自然で雄弁。楽しかったな。
東京フィルも好調。とりわけ、長尺かつ細かなフルート・ソロはお見事。色とりどりの歌合戦に花を添えました。
園田隆一郎指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:藤原歌劇団合唱部
新国立劇場合唱団
二期会合唱団
コリンナ:砂川涼子
メリベーア侯爵夫人:中島郁子
フォルヴィル伯爵夫人:佐藤美枝子
コルテーゼ夫人:山口佳子
騎士ベルフィオーレ:中井亮一
リーベンスコフ伯爵:小堀勇介
シドニー卿:伊藤貴之
ドン・プロフォンド:久保田真澄
トロンボノク男爵:谷友博、他
演出:松本重孝
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