河野真有美さんのピアノで、ラフマニノフの「エチュード」Op.39-5とスクリャービンの「幻想曲」Op.28を聴きました(2019年5月18日、市民会館うらわホールにて)。
河野さんはここ1,2年ロシアのピアノ音楽に注力しており、昨年の同時期にはスクリャービンのソナタ3番を披露してくれました。それは繊細でありつつ、気の利いたニュアンスに富んだものだった。
今日聴いた近代ロシアの2曲についても同じようなことが言えます。強弱とテンポの、細かな変化の味がいい。タッチが細やか。それらは優しく、しみじみと腑に落ちる。
そして、特にスクリャービンにおいては、ホールを揺るがすようなパワフルな打鍵が際立っていました。それはとても強いけれども、怒りではない。感情の自然な発露としての適切な音量。曲の論理的構成を明確にあぶり出した自然な抑揚。
これは、腹にも心にもずっしりと響いた。
この演奏を聴いて、彼女のスタイルはある意味一皮剥けた印象を強く持ちました。
これからの活躍がますます楽しみになりました。
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