新宿区民オペラ実験劇場による、J.シュトラウス2世「こうもり」に行きました(2017年3月26日、新宿文化センター小ホールにて)。
このホールにはピットがないから、オーケストラは舞台に向かって右奥に位置していました。プログラムによればヴァイオリンが13名、総勢36名によるもの。ティンパニがないのが寂しかったものの、堂々たる布陣です。
舞台は、大がかりな装置がなかったぶん、歌手の演技に集中することができました。
歌手たちは、総じて芸達者だったので、休憩含めて2時間半の間、飽きることはありませんでした。
なかでも好きだったのはロザリンデ。とても気品があった。声量は若干小さめなものの、声はしっかりと聴きとれて、音程のバッチリ合った色香漂う歌いっぷりに魅せられました。
それからアルフレート。セリフは棒読みのところがありましたが、アリアはよかった。硬質な声でもって、まっすぐな、気持ちのいい歌を披露してくれました。
オルロフスキーは、存在感がありました。風貌はあたかも宝塚の男役。いかにも女子が惚れそうな(笑)。歌は恰幅があって、それでいて小回りもきいており、この役柄にぴったりなスタイルだと感じました。先日聴いた、イヴァン・レブロフより、こちらが好み。
指揮は全体を通してキビキビしていて、推進力がありました。ときおりヴァイオリンにポルタメントをかけるなど、スプーン1杯の甘さも加えて。
1幕最後のシャンパンの場面はやや速め、そう、C・クライバーのテンポを彷彿とさせるもの。オーケストラも歌手も息が合っていて、とても楽しかった!
歌手は全員女性でしたが、あまり違和感は感じませんでした。アイゼンシュタインもアルフレートも、言われなければそのまま通用すると思ったし、女性特有の演技の愛らしさを考慮すれば、むしろこれはアリかな、と。それに、もともとオルロフスキーは女声でも男声でもやられるわけだから、アイゼンが女声でも、おかしくはないと思います。
そういうわけで、とても楽しく観劇しました。
パースのビッグムーン。
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