新宿区民オペラの制作による、ヴェルディの「ナブッコ」公演に足を運びました
(2018年9月1日、新宿文化センター大ホールにて)。
稽古ピアニストを務めた河野真有美さんのご案内によるものです。公演は2日間行われますが、テノールの松岡さんがイズマエーレを歌う1日目にしました。彼の歌を今年5月に、やはり河野さんのピアノで聴く機会があり、感銘を受けたからです。
このオペラはヴェルディ3作目のもの。中後期の「ドン・カルロ」や「ファルスタッフ」のように、縦横無尽に張り巡らされたような音の複雑な綾は感じられないものの、若書きであるゆえの直截で勢いのある音楽の魅力がここにはあります。
全体を通して重い手ごたえを感じる演奏でした。
暗色を基調とした舞台は、シンプルであるがゆえに音楽に集中できるものでした。ナブッコが神の鉄拳を食らうシーンは照明がまるで稲妻のよう、素朴ながらも効果的。演出にセンスを感じました。音楽は舞台の色彩とは対照的に、まばゆいばかりに輝いていた。
歌手も総じてよかったように感じます。
広がりのあるザッカリア、ふくよかなナブッコ、透明感のあるイズマエーレ。
ドスのきいたアビガイッレ、水が滴るようなフェネーナ。それぞれ、声・演技ともに役柄に適っていたようです。
オーケストラも健闘。今まで聴いた中で(まだこれで4回目ですが)、もっとも精度が高かった。
次回も期待します。
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