ベルトラン・ド・ビリー指揮 東京フィル・他の演奏、二期会によるプッチーニの「三部作」公演に足を運びました(2018年9月9日、新国立劇場にて)。
陰惨な不倫劇である「外套」、過去の不実を悔いるために修道院に入った女の悲劇を描いた「修道女アンジェリカ」、「ジャンニ・スキッキ」は相続をめぐるドタバタ喜劇。暗いトーンの2作とスキッキとを休憩で隔てたことで、プッチーニが書いた音世界の多彩さを一層感じることができました。
「外套」から「アンジェリカ」には、ほとんど間隔がなく、一気呵成に流れこみました。そして私は、アンジェリカは実は「外套」のジョルジェッタだということに気づきました。過去の過ちであったことの不倫と出産。いささか無理があるかもしれませんが、大まかな流れの辻褄は符合します。アンジェリカの素晴らしい歌唱に、ラストでは涙を抑えることができませんでした。
「ジャンニ・スキッキ」は、まるでアメリカのアニメみたいな色彩の舞台。タイトル・ロールの存在感が光ったように思います。
ビリーの指揮は、首席指揮者を務めるウイーン放送交響楽団とのモーツァルト、ダ・ポンテ・オペラをCDで聴いていましたが、実演は初めて。切れのあるリードは安定感がありました。
東フィルはいつも通りの演奏。文句のつけようがない!
ミキエレットの演出は、三作ともコンテナをメインに据えたもの、小道具のシンボリックな味付けが冴えていたように感じましたが、細かな描写には考えさせられました。
考えさせられることは、果たしていいことなのか。それは内容によるものなのでしょう。
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