ブロムシュテット指揮バンベルク交響楽団の演奏会に行く(2016年11月4日、初台、東京オペラシティコンサートホールにて)。
モーツァルト 交響曲34番
ブルックナー 交響曲7番
バンベルク交響楽団のブルックナーを聴くのは、ヨッフム以来2度目。あの1982年の8番は、非常に重厚なもので、期待以上の出来だったと記憶する。ずっと座っていたヨッフムが、最後の「ソーミレド!」の場面で立ちあがるというパフォーマンスも効果絶大で、深く感銘を受けたものだ。
今回の指揮者はブロムシュテット。年齢は当時のヨッフムよりも上。彼は、こと7番に関しては過去に録音もあり、それは素晴らしいものだったので、この演奏会に大きな期待を寄せないわけにはいかなかった。
歴史的名演が当たり前、という先入観があったせいか、全体を通してみると、まあ普通によかった、というのが率直な感想。
コントラバスは7台、バイオリンは5プルト。ヴァイオリンは対抗配置による。
1楽章は冒頭のチェロとホルンの、溶け合うようなハーモニーは美しいものがあった。ただ、構成の問題か、演奏者の緊張感の塩梅か、全体的に弛緩していたように見受けられた。やや退屈であった。
2楽章も、第2主題が出る直前に4本のワーグナーチューバが登場するまでは、いささかもてあました。しかしこの四重奏は、地の底からゆらゆらと幽玄なものが立ちのぼってきているようで、浮世離れしたものがあった。なんとも素晴らしい響きに、感涙を抑えることができなかった。この楽章の頂点は、シンバルとトライアングルが出る演奏が多いが、ティンパニだけで処理された。なのでハース版だと思ったが、プログラムにはノヴァーク版とある。ここはシンバルをぶちかましてほしいところ。
3、4楽章は普通。このコンビにしては。ただ、ラストはばっちりと決めたから、エクスタシーは感じた。
ブロムシュテットとバンベルクのブルックナー。彼らにしてみれば、今回がことさら特別なものではなく、いつも通りの演奏だったのじゃないかと推察する。とはいえ、というかだからこそ、異国で演奏する祝祭的な熱狂は感じなかった。
前半のモーツアルトは、掛け値なしの名演。コントラバスは3台、ヴァイオリンは3プルト。ヴァイオリンの対抗配置。
ノン・ヴィブラート奏法を導入し、キビキビとしたモーツアルトを聴かせてくれた。とくに良かったのは2楽章。柔らかくてコクがあり、それでいてほろほろと花びらが舞うような幻想味もあり、じつに多様な味わいを感じさせてくれた。ブロムシュテットは、これを聴かせたいがために、「エグモント」と差し替えたのではあるまいか。
ブロムシュテットは、最初から最後まで立って指揮をした。
駐車場。
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