シュツットガルト・バレエ団のチャイコフスキー「オネーギン」の公演に足を運びました(2018年11月4日、東京文化会館にて)。
「エフゲニ・オネーギン」は昨年に新宿区民オペラの制作で視聴。チャイコフスキーならではの甘い旋律が充満した、魅力のあるオペラでした。それに対しこの「オネーギン」は、踊りやすいように恣意的に音楽を変えています。原作のオペラのなかの曲をシャッフルしたり、チャイコフスキーの他のピアノ曲などを挿入させたり。
そういう意味では、音楽よりもバレエに集中せざるをえなかったし、またそれは理にかなっているように感じました。とはいえ、音楽もやはり素晴らしい個所があった。1幕におけるレンスキーの踊りでの演奏には、全身が震えるような感覚を覚えました。
バレエは年に数回観ているものの、踊り手の技量をどうこう言えるほどの見識はない。全体的には新国や東京バレエ団と相違ない気がしましたが、オネーギンとグレーミンのスタイルの良さというものはやはりアドバンテージであって、彼らが舞台に登場すると一気に雰囲気が華やぎます。背の高さに加え、ジャンプの高さも見事。
舞台は、幕のなかでも場面によってきめ細かく転換していました。贅沢ではないけれど、可愛らしくてセンスがよかった。
堅実なタグルの下での、オーケストラもよかった。個人技では、ファゴット、ホルン、ヴァイオリン、チェロ。
このオケも近年になり、オペラやバレエの演奏にも力をつけてきたように感じます。
タチヤーナ:エリサ・バデネス
オネーギン:マチュー・ガニオ(パリ・オペラ座バレエ団)
オリガ:ジェシカ・ファイフ
レンスキー:アドナイ・ソアレス・ダ・シルヴァ
グレーミン:マテオ・クロッカード=ヴィラ
振付:ジョン・クランコ
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
ジェームズ・タグル指揮
東京シティ・フィル
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