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ツィメルマンの東京公演 -芸術劇場から-

2006.10.12 - 演奏会(映像、音源)
ツィメルマン

クリスティアン・ツィメルマン(2006.5.20/6.2 サントリーホール)

日本ハムがソフトバンクに勝って、日本シリーズ進出。
劇的な幕切れであったが、札幌ドームでも試合ということもあって、終始流れは日ハムにあったようだ。シーズン前に、誰が日ハムの優勝を予想したことだろう。


さて、ピアノ・リサイタルから。
NHKの放送から、2週間近く遅れての記事。
ビデオに録画して、やっと観た。もったいないから観なかったわけでは
ない。映像付きだと、なにか構えてしまうのである。

ツィメルマンは好きなピアニストであるので、これは楽しみであった。
モーツァルトの10番(K.330)とベートーヴェンの8番(悲愴)は、テンポの変化が多くて情感をたっぷり出した演奏。ひとつひとつの音は粒だっているし、強奏でも音は濁ることなく澄んだ響きを聴かせてくれるが、歌いまわしはとてもねっとりとしたピアノである。
古典派の演奏としては少し違和感があるかもしれないが、生で聴いたら、きっと感銘を受けただろうと思う。堂々と引き崩してはいるが、流れを損なうことのないセンスを感じる。ただ、全面的に賛同できる解釈ではなく、いささか挑戦的な解釈にも思える。
ラヴェルの「高貴で感傷的なワルツ」でも、崩した演奏であるが、モーツァルトに比べると違和感はなく、むしろ退廃的な感触を色濃く出しえている演奏だと思った。フランスの香り漂う、というよりも、音色と細かなテンポの変化の綾で聞かせる演奏。

最後のガーシュインの前奏曲は、ラヴェルのあとなだけに、雰囲気がハマっていた。沸き立つようなリズムと、暗い酒場にいる雰囲気の表出になんだかゾクゾクする。
実際の演奏会では、この曲順だったのか定かではない。

それにしても、このピアニストの技巧はすごい。このリサイタルを聴いた限りだと、ほとんどミスはなかった、どんなにうまいピアニストでも、これだけの曲をライヴでやったら、はっきりと音をはずす部分が聴こえるものだが、ツィメルマンは概ねノーミスで弾き切ったように思う。
それは、安定したテクニックに加えて、自身の感性と、肉体とに矛盾がないということが大きな要因ではないだろうか。




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Comment

無題 - ダンベルドア

こんばんは。
>沸き立つようなリズムと、暗い酒場にいる雰囲気の表出になんだかゾクゾクする

ガーシュインはまさにそんな感じでしたね。
どんなお酒が合うんでしょうね。

拙ブログの記事にTBさせていただきました。
2006.10.13 Fri 22:59 URL [ Edit ]

Re:ダンベルドアさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

ガーシュインの演奏は良かったです。バーボンがあれば飲みながらいい気分だったでしょう。
モーツァルトとベートーヴェンは、難しい演奏でした。口当たりはよかったし、情感こもった演奏でしたが、これを標準としてずっと聴いていくには何かが不足しているような(その何かがよくわからないのですが)感じがしました。
TBありがとうございました。
2006.10.13 23:50
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