クラウディオ・アバドが逝去したことは、昨日の朝日新聞の一面に取り上げられていたので知った。
この扱いは、ベルリン・フィルの音楽監督だったということの、ネーム・ヴァリューだろう。
彼にはいろいろお世話になった。
ことに、マーラーの交響曲の面白さを最初に教えてくれたのは、彼だった。シカゴ響との2番、6番。
その後、彼は順風満帆にキャリアを積み上げていった。ウイーン・フィル、ミラノ・スカラ座、ロンドン交響楽団、シカゴ交響楽団、ベルリン・フィル、ルツェルン祝祭管、等々。
実績を鑑みれば、間違いなく現代最高の指揮者であると言える。ステージ、レコーディングと活動も活発だった。
ただ、ベルリン・フィルの音楽監督になってから以降は、少し勢いが衰えたように思う。良く言えば節制を保った、悪く言えば手の抜きどころをわかってしまったような。
例えば、ベルリン・フィルとのマーラー「9番」。終楽章はとてもいいものだけれど、それまでの楽章は凡庸。
それは、体力の問題が大きかったのではあるまいか。
今となっては思う。
だから、アバドの全盛期は、ロンドン響の首席指揮者と、シカゴ響の首席客演指揮者時代だったのじゃないかと思う。
あの頃は、まさに脂が乗り切っていた。
素敵な指揮者だった。
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