ショルティ指揮RCAイタリア・オペラ管弦楽団・合唱団の演奏で、ヴェルディの「ファルスタッフ」を聴く。
ジェライント・エヴァンス(Br)
ジュリエッタ・シミオナート(Ms)
イルヴァ・リガブエ(S)
ロバート・メリル(Br)
ミレッラ・フレーニ(S)
アルフレード・クラウス(T)
ロザリンド・エリアス(Ms)、他
これは、いかにも1960年代のショルティらしい、覇気に満ちあふれた演奏。オーケストラを容赦なくガンガン鳴らす。冒頭などは勢いが良すぎて、トランペットの音が割れている。
RCAの管弦楽団は録音用の臨時オケと思われる(一説によればローマ歌劇場管弦楽団の変名だとも)。多少荒削りではあるものの、技術はじゅうぶん高い。ショルティの指示でもあるのだろう。精緻さより勢い。それもアリだ。
エヴァンスという歌手は初めて聴いた。ものすごくうまいというわけではないが、雰囲気がいい。恰幅がありユーモラス。この役柄に合っているように感じる。
歌手は他に、シミオナートやメリル、クラウス、若きフレーニと豪華な顔ぶれ。このオペラは、アリアがないわけではないが、歌手が単独でとても目立つという作りではない。むしろ、あたかもオーケストラの楽器の一部になっているかのように振る舞うことが肝。各人、コーヒーのクリームのようにショルティの音楽に溶け込んでいる。とくにクラウスの瑞々しさとシミオナートの品のよさは光る。
1963年、ローマ、RCAイタリア・スタジオでの録音。
シティの落日。
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