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庭の眺め、ドラティ、ニーベルンクの指輪

2011.05.15 - ワーグナー
 
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ワーグナー「ニーベルンクの指輪」ハイライト ドラティ指揮ナショナル交響楽団


ポプラ社の100年文庫より、梅崎春生の「庭の眺め」を読む。
小さな庭をもつ主人公が、庭に出没するいろいろな出来事を淡々と描いている。舞台は戦後の昭和、場所は都市部の住宅地と思われる。
手入れをしていない庭の竹垣はボロボロなので、犬や猫や鶏が通って行く。ときには人間や、肥溜めを運搬する馬が通ったりする。馬のときはさすがに、隣家のオカミさんの叫び声が聞こえた。
この隣家の主人が曲者。主人公の庭に勝手し放題。カスミ網を張って小鳥を捕まえるわ、はみ出ている無花果の木を切り倒すわ。畠を耕されて何かの種を植えられたときは、芽が出てきたときにやっと気がついた。
「私の庭にこんなものが生えようとは、予想もしていなかったので、すこしは私も驚く気持にもなった。しかしそれらが生えてくるのを妨げる理由は、私にある筈がない」。
といって、おもむろに朝のおつゆの実にして、それほど旨くない、なんてのたまっている。
最後のまとめもいい。
「このようにして、我が家の庭の眺めは、充分とはいえないが、一応は佳良である」。
これは好きな小説だ。


何年かまえに、モントリオール・エクスポスというメジャー・リーグの球団が身売りをして、ワシントンに移転した。このチームをワシントン・ナショナルズという。どうしてナショナルというチーム名になったのかというと、ワシントンに本拠を置くオーケストラに由来したからである。と思っていた。
実際はそうではなく、19世紀に存在した、ワシントン最古の野球チーム「ナショナル・ベース・ボール・クラブ」に由来するものであるらしい。
なので残念であるが、野球チームとオーケストラとに、これといった関連はなさそうだ(残念でもないか)。ちなみに、なぜこのオーケストラがナショナルなのかというと、大統領への御前演奏や祝祭日のための公式演奏を担当するからとのこと。さすが首都のオーケストラである。

この「指輪」ハイライトは、ドラティが音楽監督を務めていたときの録音。ドラティの演奏だから悪いはずはないだろうと思いつつ聴き始めてみると、やはり悪くない。というかけっこういい。角がとれたまろやかなもので、劇的な緊張感よりも見通しの良さを重視したスタイルで、コンサート向けに徹しているようだ。響きのバランスがよいのは、オーケストラの特性によるところが大きいとみた。どの楽器もクセのない自然な音色であり、つつがなくこなしているといった感じ。
全体的にアッサリとした味付けであり、これも一興。

「ラインの黄金」より前奏曲とワルハラ城への神々の入場
「ワルキューレ」よりワルキューレの騎行
「ワルキューレ」よりウォータンの告別と魔の炎の音楽
「ジークフリート」より森のささやき
「神々のたそがれ」より夜明けとジークフリートのラインへの旅
「神々のたそがれ」よりジークフリートの葬送行進曲
「ニーベルングの指環」管弦楽曲集~「神々のたそがれ」より神々の自己犠牲


1975年4月、ワシントンDC、コンスティテューション・ホールでの録音。

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