バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの演奏で、ワーグナーの「管弦楽曲集」を聴く。
「ヴォータンの告別と魔の炎の音楽」
「さまよえるオランダ人」序曲
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」徒弟たちの踊りと名歌手たちの入場
「リエンツィ」序曲
「ローエングリン」1幕への前奏曲
「ローエングリン」3幕への前奏曲
「ワルキューレの騎行」
録音年代がバラバラで、ロケーションも異なるせいなのか、あるいは指揮者と曲との相性なのか、曲によってムラがあるように感じる。
「ヴォータン」はバリトンを伴わない版による。トランペットやチェロなどが声の役割を演じる。編曲に不自然なところはない。まずまず。
「オランダ人」は切り込みが鋭い。パンチがきいていて、迫力たっぷり。ニューヨーク・フィルの機能の高さを知らしめてくれる。とてもいい。
「ワルキューレの騎行」は、案外おとなしい。端正といってもいいくらい。オランダ人とは別人のような指揮ぶり。あんまり面白くない。
「リエンツィ」は、前半はゆったりしていて雄渾な感じ。あとのほうになりテンポは速まり、快活。まあまあかな。
「ローエングリン1幕」、元々ひんやりとした音楽であるが、ニューヨーク・フィルの弦セクションが、硬めで透明感のある響きをうまいこと醸し出している。なんとも云えぬほどいい。
それに比べると、3幕はいまひとつ。音がくぐもっている。録音のせいもあるだろう。
「マイスタージンガー前奏曲」は、ゆっくり目のテンポ(11:47)でたっぷりと鳴らせる。堂々としており、気合いがはいっている。透明感もあり、普段聴こえないようなファゴットが聴こえる。
問答無用に素晴らしい。
「徒弟たちの踊り」、重厚な出だしから、じょじょに荘厳になっていき、やがて華やかな雰囲気を纏っていく。愉悦。バーンスタインがワーグナーに大きな愛情をもっていたことが如実にわかる。じつにいい。これを聴くと、彼の棒で全曲が残っていたら! と思わないではいられない。
1964,1967,1968年、ニューヨークでの録音。
カフェ。
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