ラルキブデッリのメンバーによる、モーツァルトの弦楽五重奏3番を聴きました(1994年の録音)。
ヴェラ・ベス(ヴァイオリン)
ルシー・ファン・ダール(ヴァイオリン)
ユルゲン・クスマウル(ヴィオラ)
ギジュス・ベス(ヴィオラ)
アンナー・ビルスマ(チェロ)
ラルキブデッリの演奏を、始めはメンデルスゾーンの八重奏曲で知りました。瑞々しい音色とテンポがとても気に入り、それを機に注目していました。
それからしばらく経ってから手に取ったのは、シューベルトの五重奏曲。いわゆるシューベルトの「闇の部分」をあからさまにした曲を演奏するのは一筋縄ではいかないと推察しますが、それをいたって自然に弾いている。諦念をむやみに強調せず、のびのびとした歌を通わせているところに感銘を受けました。
モーツァルトについてもほぼ同様。
ピリオド・アプローチだけど、アクが少ない。浮き立つような響きのみを感じられる。
この曲で好きなのは、3楽章アンダンテ。ヴァイオリンとヴィオラの掛け合いは、あたかも愛の交感のようでもあり、「トリスタンとイゾルデ」2幕あるいは前奏曲における弦のうねりを想起させます。でも、こちらのほうが品がいい。云ってみれば、手を触れるだけのエロさ。奥ゆかしい。
この演奏ではその箇所、上昇するところがなんとなくぎこちない感じがなくもないけれど、それは古楽器の奏法に依るところなのかも。
いずれにせよ、時間を忘れるかのように愉しい。
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