アックスのピアノ、マのチェロ、パールマンのヴァイオリンで、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲1番を聴く(2009年3月、ニューヨークでの録音)。
パールマンの実演は2回聴いた。一度目はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲だが、なにぶん中学生のときなので、詳しく覚えていない。車椅子で登場したところがショッキングであったくらい。
二度目は3年前。これはリサイタルで、グリーグやタルティーニをやった。素晴らしかった。羽毛のように軽やかで、煌びやかな音。名人のヴァイオリンとは、こういうものなのだなと、深く納得しないではいられなかった。
このメンデルスゾーンでもパールマンは好調。そして、マとアックスも。若い頃から才気煥発であった彼ら、中年になっても絶好調だということを示している。
ライナー・ノートでアックスは、メンデルスゾーンは「音楽史上最高の神童」と褒め称えている。その言葉にさして異存はない。この曲は、彼が30歳くらいのときに書いた作品だが、瑞々しさは10代の頃に劣らない。明るい色調のなかに、うすぼんやりとした憂愁を湛えており、深みもある。
それにしても、このジャケット、パールマンとアックスが似すぎており、実際に会ったら間違えて困るだろう。会うことは、ないか。
春。
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