たぶん、数年前の「芸術劇場」で放映されたものだろう。
部屋の片隅に、ほこりをかぶってころがっていたビデオだ。
彼がボストンの音楽監督として行った最後の演奏会の模様、ということらしい。
映像を観ると、小澤は手ぶらである。
最近の彼は、こうした大曲をやるときも指揮棒をもたないようだ。
指揮棒は、目立つが1本しかない。急に伸びたり縮んだりすることもなければ、突然、先っちょからチューリップが飛び出すような仕掛けがあるわけでもなさそうだ。
少なくとも、私は見たことがない。
指揮棒をもたない場合、手をじかに動かすことで指揮をするのだが、手のひらと5本の指の動きによって、より細かなニュアンスを伝えることができるような気がする。
素人考えであるが、指揮者は、指揮棒をカッコいいから持っているのじゃないだろうか?
「カッコいい」というのは、正当な理由として充分成り立つと思う。
私も、どちらかといえば指揮棒あり派である。
本当のところ、彼はなぜ、指揮棒を持つことをやめたのだろう。
でも実際に、一番重要なのは、オケのメンバーに与える影響である。
オケのメンバーからみれば、どちらがいいのだろうか?
小澤征爾指揮ボストン交響楽団
(2002.4.20 ボストンシンフォニーホール)ボストン饗の、すこし曇ったような音色にどっしりと落ち着きがある。よくボストン饗を「最もヨーロッパ的なオケ」と評することがあるようだが、ここでいうヨーロッパとはどの地方をさしているのだろう?
今日は疑問ばかりだ。
ご存知の方、どなたかお教えください。
演奏には派手なところは全くないが、細かいところをおろそかにしない丁寧な音楽作りが、この指揮者の良いところ。
その一方、特になにかが突出している場面はなく、全体的に手堅くまとめた演奏である。
決して悪くはないのだが、なにかが足りないような音楽ができあがった。
まことに失礼千万であるが、実はこの指揮者は、80歳を過ぎてから大化けするのではないか、とひそかに期待しているのである。
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