カーゾンのピアノ、クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団の演奏で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲4番を聴きました(1977年2月、ミュンヘン、ヘラクレス・ザールでの録音)。
カーゾン、クーベリックの両者とも、冒頭から表情がたっぷり豊か。ピアノの響きは奥行きがあり色鮮やか、程よい野性味が感じられるし、粒立ちが軽やかで心地がいい。オーケストラもまた野趣たっぷり、ポルタメントをかけるところは古き良き時代の名残りのようで面白いし、なにより勢いがいい。
ピアノはとくにカデンツァが目覚ましい。軽妙にして鮮烈。彼が弾くベートーヴェンのソナタを聴いたことはないし、録音があるという話も聞かない。1曲でもいいから遺してほしかったと悔やまないわけにいかない演奏です。
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