ゲヴァントハウス弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番と「大フーガ」を聴く(1997年11月の録音)。
柔らかくってコクがあって、奥行きのある響き。冒頭から涙を禁じえない。
このディスクは、先日に聴いたエマーソンSQのものとは違い、「大フーガ」が6楽章のあとに配置されている。だから、違和感がない。基本的に「13番」と「大フーガ」は別の曲だと考えているから。
1楽章は、堂々とした佇まい。4つの楽器すべてが朗々と鳴っている。
2楽章は、速いなかに強弱の変化と、微細なポルタメントを混ぜて抑揚をつけている。それがいい味を出している。
3楽章。この曲がもともと持つユーモラスな面を、細かい変化をつけて上品に仕上げている。
4楽章は、屈託がなく、軽やかで明るく朗らか。人生こうありたいと思わせられる演奏。
5楽章は、カヴァティーナ。前の楽章からぐっと重心を落として弾いている。いぶし銀の音色でもって、太く厚みをもたせて歌っている。
6楽章は、じっくりと、やや荘重に響かせている。眼差しが優しい。大好きな中間部のメロディーは、いくぶん速めでサクサクとしている。
「大フーガ」は、やや遅めのテンポ。弦の響きがとても濃厚。曲の苛烈さゆえ、ところどころ悲鳴が聴こえるところがある。激しさと穏やかさを併せ持った演奏。
フランク・ミヒャエル・エルベン(ヴァイオリン1)
コンラート・ズスケ(ヴァイオリン2)
フォルカー・メッツ(ヴィオラ)
ユルンヤーコプ・ティム(チェロ)
パースのビッグムーン。
PR