ゲヴァントハウス弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲1番を聴く(2003年6月、7月の録音)。
この四重奏団は、1808年にゲヴァントハウス管弦楽団の首席奏者らにより編成された世界最古のカルテットといわれている。その高名は知っていたが、まともに聴くのは初めて。
最初の合奏を一聴して感じるのは、音の柔らかさ。最近はジュリアードや東京、アレクサンダーなどといった、音色が比較的硬めの四重奏団を聴いていたので、余計そう感じるのかもしれない。
ソロのところにさしかかると、個々の楽器もじつにきめが細かくコクのある音を醸し出していることがわかる。これは魅せられる。
呼吸もたっぷりとしていて、堂々とした佇まい。テンポは中庸、まるで王道をいくような弾きぶりから、初期の作品でありつつもベートーヴェンの威容を感じないわけにいかない。
2楽章においては、濃い憂愁が姿をあらわす。4番もそうだが、初期の弦楽四重奏であっても、短調の緩徐楽章には、中期あるいは後期に繋がる深みがあるようだ。
フランク・ミヒャエル・エルベン(ヴァイオリン1)
コンラート・ズスケ(ヴァイオリン2)
フォルカー・メッツ(ヴィオラ)
ユルンヤーコプ・ティム(チェロ)
パースのビッグムーン。
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