アラウのピアノで、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ17番「テンペスト」を聴きました(1965年5月、アムステルダム、コンセルトヘボウでの録音)。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタは、ここ何年か後期の作品ばかりに気を取られていて、中期の曲をいささか低くみていました(←不遜もここまでくると我ながら愉快)。
で、久しぶりに「テンペスト」を聴きました。いや、もう素晴らしい。格別です。この曲の良さを再認識できたのは、アラウのピアノだからといっても過言ではないです。
ベートーヴェン弾きとして名高い、バックハウスとケンプのステレオ録音は好みません。が、モノラル録音は最高と思う。彼らが60歳代くらいのものです。このアラウ盤も、ご自身が60歳ちょっとの頃の演奏。脂はのっているし、技術の衰えもない。いま思えば、絶妙な時期だったと思います。
じっくりと噛んで含めるようなテンポ、ふくらみがあって艶やかな音色。ふんのりと漂う陰が音楽に深みを増しているように感じます。
パースのビッグムーン。
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