アマデウス弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲14番を聴く
(1963年6月、ハノーファー、ベートーヴェン・ザールでの録音)。
「ベートーベンは、偉大な3つのピアノ・ソナタを完成させ、さらには「ミサ・ソレムニス」「交響曲第9番」「ディアベリ変奏曲」などを完成させた後は、彼の創作力の全てを弦楽四重奏曲の分野に注ぎ込むことになります。そうして完成された最晩年の弦楽四重奏曲は人類の至宝といっていいほどの輝きをはなっています。そこでは、人間の内面に宿る最も深い感情が最も美しく純粋な形で歌い上げられています」
ベートーヴェンの弦楽四重奏、好みでは、15番、あるいは13番を取るが、エラさということであれば、この14番を真っ先に挙げなければならないだろう。
全部で7楽章の威容。
1楽章は序章。楽章がまるごと序奏というのは異例であるが、後期のベートーヴェンはなんでもアリだから、こういった解釈でもいいだろう? なので、実質は序奏つきの6楽章としたい。
長さ、貫禄から言うと、この曲の目玉の一つは4楽章のアンダンテ、ということになる。とてもとても、穏やかな音楽である。作曲者自身が成仏したかのよう。
5楽章のプレストは、嵐。一瞬にしてなにもかもが裏返るような衝撃。
6楽章のアダージョは間奏曲風、短かさが切ない。
7楽章は、ベートーヴェンの能力の結集ともいうべき作品。堅苦しさという意味ではこれ以上のものはなく、またカッコよさでも、これを凌駕する音楽はそうそう見当たらない。
人類の至宝という意見に、異議はない。
アマデウス四重奏団の演奏については、ここまで来ると、もうなんの注文もない。自由気ままにやってください、と言うしかない。
あと、訂正があります。
昨日投稿した「大フーガ」で、アマデウスのベートーヴェンの録音順は、初期から順番に、と記載しましたが、本当は中期が最初、次に初期、後期、といった並びになります。すみません。
春。
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