ケンペ指揮チューリヒ・トン・ハレ管弦楽団の演奏で、ブルックナーの交響曲8番を聴きました(1971年11月、チューリヒ、トン・ハレ・スタジオでの録音)。
この演奏は40年以上前、図書館で借りたレコードで聴いた記憶があるけれど、どんな演奏だったかは覚えていません。
なので、まるで初めて聴くときのようにワクワクしながらCDプレーヤーのスイッチを押すと、渋く落ち着いた音色が、じょじょに狭い書斎を満たしました。これは期待できる。
全体を通して、目新しさはさほど見当たらない。テンポの変化はあまり多くないようだし、声を荒らげたり思わせぶりな動きも感じられません。
終始に渡って表情は控えめでありながら、ところどころ陶然としないではいられない箇所があります。
3楽章の、弦楽器の音がゆったりと上昇していくあたりの厚みであるとか、4楽章始まってすぐ金管の、威勢良くも無骨な響き、など。
オーケストラはどうでしょう、ときにハンブルクの交響楽団のような渋みを出しているけれど、鳴りっぷりが伸びやかなので色調は明るめに感じられる。
総じて3楽章の演奏を気に入りました。眼を瞑り、肩の力を抜いて音楽に身を任せると、いっとき月曜日のことを忘却。
これは、今後も取り出すことになりそうなCDです。
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