CDやLPなどで音楽を聴くとき、音量はなるべく大きいほうがいい。
コンサート・ホールでの音量を出すのが理想的なのだが、スピーカーで
それをやってしまうと、防音装備のない拙宅では近所迷惑になりかねない。
最近は実演なみにダイナミック・レンジが広い録音があるので、マーラーの「第九」の冒頭などをはっきり聴こえるようにボリュームをあわせたりすると、あとで大変なことになったりする。
そういったこともあって、特に管弦楽曲を聴くときには、ひっそりとヘッドフォンを使うようにしている。
ヘッドフォンは費用対効果で考えればスピーカーよりも良い音を出せるものだが、ちょっと窮屈だ。
無線で軽くて手ごろなヘッドフォンが出ないものかなあ。
昔、一度だけ、レコード・コンサートなるものに行ったことがある。
東京文化会館小ホールの舞台の両サイドには、冷蔵庫のようなタンノイがふたつ、どーんと置いてあった。
舞台にヒトはいない。
変な光景だった。
これから始まりますよー、というアナウンスがあって、おもむろに演奏が始まった。
音量は文句なかった。もともと残響のある録音であることに加え、ホールの響きがブレンドされて、なんともいい音だった。
楽章間に咳きが聞こえるのは、実演と同じ。
最後の音がダダダーンと鳴る。
ちょっと感動していたのだが、一瞬、拍手しようかどうか躊躇した。
スピーカーを相手に拍手?
戸惑ったが、他に誰も拍手するヒトはいなかったので、私もそそくさと立ち去ることにした。
なんだか少し、気まずいような気がした。
ヨッフム/ドレスデン国立管のブルックナー「第八」その夜に演奏(?)されたものは、後日CD化されてから入手した。
あのときの音は、再現できていない。
★古典音楽blogランキング!★クラシック音楽ブログ集★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
メールアドレスを入力してボタンを押すと登録できます。
PR