グラフマンのピアノ、ミュンシュ指揮ボストン交響楽団の演奏で、ブラームスのピアノ協奏曲1番を聴きました(1958年4月、ボストン、シンフォニー・ホールでの録音)。
ゲイリー・グラフマンは1928年にニューヨークで生まれたアメリカ人ピアニスト。ホロヴィッツとゼルキンに師事をした経歴があります。この対照的とも言える大ピアニストの下で研さんを積んでいたところが面白い。レコードは、オーマンディやセルと共演したものが有名ですが、ソロでも広く活躍しています。
さてこの演奏、とても速い。およそ43分で全曲を駆け抜けます。いままで聴いた同曲の演奏では、最速です。
序奏からミュンシュのオーケストラは豪壮、剛速球。どの楽器もよく鳴っていて痛快。1楽章のオーボエとトランペットはキラリ光っているし、2楽章の弦楽器の厚みには胸を打たれます。この頃のボストン交響楽団は上手い。
グラフマンのピアノも好調。明るめの色を基調に、ぐいぐいと押していきます。テクニックは冴えわたっており、まったく危なげがない。いぶし銀のような低音から星のごとく煌めく高音まで、音も明快です。
これほどためらいがないピアノも珍しいですが、ここまでやられたらむしろ気持ちがいい。
ラストの追い込みは、オーケストラと相俟って、すさまじい。
パースのビッグムーン。
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