バルトーク ピアノと管弦楽の作品 シャンドール(Pf)、他ジョルジ・シャンドールは1912年にブダペストに生まれた。作曲をコダーイに、ピアノをバルトークに学んだというから、直球ど真ん中のハンガリアンである。
特にバルトークと親交が深かったというからもっと昔のヒトだと思っていたけど、わりに最近のソリストなのだな。
このバルトークは1958年から59年の録音。
この曲はしばしば、テクニックに自信のあるピアニストが技巧を最大限ひけらかすために奏することがあるが、シャンドールはそういう方面にはいかず、曲の持つ抒情と神秘に目を向けたものであることが聴きとれる。
激しい部分はあまり強烈ではないが、静かな部分のみずみずしさが印象的。そして音が柔らかくて魅力的だ。
中~弱音がとても鮮烈で、ことに細かいパッセージは、新鮮なタピオカのようにころころしていておいしそうである。
オケはギーレン指揮ウイーン交響楽団。ギーレンはまだかなり若いのじゃないだろうか。細部まで行き届いたかゆいところに手が届く気配りがあり、ダイナミックな迫力にも事欠かない。終楽章の大太鼓はすきっ腹にドスンと響くド迫力。
ピアノと打楽器は右から、木管は左から聴こえるといったような、ちょっとバランスの変わった録音であるけれど、鮮度は高く、この時代の録音にしては上々だと思う。
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