※勝手にドビュッシーの日※ドビュッシーで思い出すのは、おかっぱみたいな髪型と女性スキャンダルである。
「ドビュッシーがワグネリアンだったことはよく知られているが、彼もまた、妻を捨てて裕福な人妻と強引に結婚した。このため世の非難と譴責を浴び、対社会的な苦境に陥る。わるいことに、ドビュッシーに捨てられた妻の方は自殺をはかる、彼女は実は二度目の妻なのである」
(五味康祐「五味康祐 音楽巡礼」)
五味のこの本は、多分に誇大妄想の入った著書だが、このエピソードはドビュッシーに関するさまざまな評伝に記載されているから間違いはないだろう。全くうらやましい、じゃなかった、困ったヒトである。
こういう作曲家の常として、その作品は俗世を遠く離れた透明なものだ。
ベネデッティ・ミケランジェリ弾くの前奏曲集は、ピアニストがすごいのか曲がすごいのか、よくわからなくなるくらい透徹したピアニズムが目覚しい音楽になっている。
カキーンと冷え切った高音と、重厚でにごりのない低音とのハーモニーを、他のどんなピアニストからも聴くことができないし、そのめくるめく色彩感はこの作曲家ならではのものだろう。少なくとも、この音楽からドビュッシーの奔放な性生活は聴こえてこない。
ミケランジェリの素晴らしい演奏を聴くと、他のピアニストなんか聴けない、と一瞬思ってしまうのだが、気を取り直してベロフで聴くと、ああやっぱり、これがいつも聴きたいと思っているドビュッシーなのだな、などとコロっと気が変わってしまう。
ミケランジェリの演奏はいつも特異だが、ドビュッシーの音楽がそれを受け入れる度量は、まさに人妻奪取パワー(!?)というべき包容力か。
ミケランジェリ ドビュッシー前奏曲集第1巻ドビュッシーの音楽という素材を操ってわが道を行くミケランジェリ。ベロフ ドビュッシー前奏曲集ドビュッシーのいい演奏をしてくれる、ベロフ。★古典音楽blogランキング!★クラシック音楽ブログ集★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
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