チャイコフスキー 劇付随音楽「雪娘」 イゴール・ゴロフスチン指揮モスクワ交響楽団 先週は収穫があった。チャイコフスキーの劇音楽「雪娘」の発見である。
実はこのCD、10年以上前に購入して聴いている。そのときは全然面白くなかったので、ずっと御蔵入りにしていた。
このたび手放すことになったので、どんなにヒドイ音楽だったのかなと思いつつipodに入れて、流し聴きしてみた。これがよかった。
初期の作品なので、メロディーの練り具合やオーケストレーションの華やかさにやや弱さがあるものの、チャイコフスキーらしい甘くてみずみずしい情緒と、若々しいエネルギーに満ちた音楽なのだ。
最初は何を聴いていたのだろう?
1.序奏
2.鳥たちの踊りと合唱
3.厳寒のモノローグ
4.謝肉祭を送る合唱
5.メロドラマ
6.間奏曲
7.羊飼いレルの第1の歌
8.羊飼いレルの第2の歌
9.間奏曲
10.盲目のグースリ弾きたちの合唱
11.メロドラマ
12.民衆と宮廷人たちの合唱
13.群舞
14.道化師たちの踊り
15.羊飼いレルの第3の歌
16.プルシーラの歌
17.森の精の登場と雪娘の幻影
18.春の精の朗読
19.ベレンディー王の行進と合唱
20.フィナーレ
「鳥たちの踊りと合唱」の歌いまわしは「小ロシア」の静かなところを想起させる。涼やかで可憐。合唱が入ると、いわゆるロシア臭が濃厚に漂うところが面白い。
「厳寒のモノローグ」はテノールのアリア。歌っている内容はわからないが、なにやらうら哀しい。まさに厳寒を感じさせる。うら哀しさの合間に感情の爆発がある。テノールは絶叫調になり、ティンパニの連打が合いの手を打つ。ロシア語そのものに独特の野趣がある。このあたりは、大雑把に言えばチャイコフスキーというより5人組の世界に近いかもしれない。
「羊飼いレルの歌」はメゾ・ソプラノのアリア。これはさしずめ「スペードの女王」かな。オコリシェヴァという歌手を知らなかったが、声にたっぷりとしたボリュームと色気があっていい。
「盲目のグースリ弾きたちの合唱」は、ロシア民謡風の人懐っこいメロディーをテノールが先導して男声合唱が盛りたてる。
「道化師たちの踊り」は、お得意のバレエ音楽を思わせる。そのなかでも激しい踊りのシーンだ。息もつかせぬテンポで一気にまくしたてて爽快。この曲以降、がぜん後のバレエ音楽の様相を帯びてきて、面白くなってくる。
全体的な感触は、「眠りの森の美女」の若書き版といったところ。後半は特にいいので、チャイコフスキー・ファンでなくても、一度聴いてみてほしい。
売らなければよかったナ。
エレナ・オコリシェヴァ(メゾソプラノ)
アルカディ・ミシェンキン(テノール)
モスクワ・カペラ(合唱)
1996年3月、モスクワ、モスフィルム・スタジオでの録音。
道化師たちの踊り(紹介のCDとは異なる演奏です)
突然ですが、ハンドル・ネームを変えます。
「ポンコツスクーター」。
本名でもなんでもない「吉田」よりは多少いいかと(恐れ多いんですが、秀和さんが亡くなってしまったことも、変えるキッカケのひとつなんです)。
ポンコツはともかく、スクーターってなんだよ? との疑問があるかもしれません。
また、なんでいまさらというお考えもあろうかと存じます。
たいした意味のない思いつきですので、そのへんはテキトーにあしらってください。
今まで通り「ヒマでヒマで仕方がないから読んでやるか」くらいの感じでお付き合いいただければ幸いです。
そいじゃ、また!
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