たまにはフランス料理。
何年かまえの、誰かの結婚式以来だ。
フォアグラと牛ヒレのロッシーニ風。
いかにもカロリー高そうな料理。
こんなものを毎日食っていたら病気になりそうであるが、いらぬ心配である。
こってりと濃厚なソースのベースはたぶんフォンドヴォーなのだろうが、どういう調理をすればこういう味になるのか、皆目見当がつかない。
なにかのプリン。一回聞いても覚えられない。
なにかのアイスクリーム。これも同様である。
名前はわからぬが、どちらもおいしかった。
たまにしか来ない客を相手にするレストランは、居酒屋とはまた別の苦労があるのだろうと、ウェイターの笑顔を見て思うのだった。
ジュリーニの「小ロシア」、ベルリン・フィルとのライヴである。
これもロッシーニ風に負けないくらい、どっしりと濃い演奏だ。
オーケストラにはまだカラヤン色が強く残っているせいか、低弦はゴリゴリ鳴るし、全奏での爆発力はすさまじいまでのパワーだ。手綱を緩めようものなら、どこか遠くへすっ飛んでいっちゃいそうである。
そのパワーと、ジュリーニのレガートを基調とした遅いテンポとのマッチングがなんとも重厚。
アクセルを踏みながらブレーキをかけているような底知れない馬力が、冒頭から終結部にいたるまでまんべんなく炸裂している。
演奏のどの部分を切り取っても、脂がたっぷりとしたたっている。これは濃厚だ。
奏者はみなうまい。全体にはやはり弦楽器群が強くて、良くも悪くも全体を支えている感じ。
ソロでは4楽章のピッコロがすごい。あんなに透明で冴えわたったピッコロを聴くのは、初めてかもしれない。
1991年9月14日、シャウシュピール・ハウスでの収録。
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