チャイコフスキー「白鳥の湖」 アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団岡田斗司夫の「『世界征服』は可能か?」を読む。
「仮面ライダー」や「北斗の拳」に出てくる悪の組織は、なんのために世界征服を狙っているのか。世界征服にはどんな苦労が伴うのか。本書は、そんな素朴な疑問を掘り下げて考察している。
いくつかの例を取り上げているなかで、とくに印象に残ったのは「バビル2世」のヨミ様の話。彼は地球支配のために組織を作るが、独裁者なのでたいへん忙しい。すべて自分が決めなくてはならないので、仕事が増える一方だ。いろいろな武器を作って戦うものの、バビル2世はそれをものともせずに立ち向かってくる。寝ている暇もない。ピンチになると、すぐに部下が「ヨミ様を起こせ!」なんて言って呼びに来るから、ヨミ様は全然寝られない。こんな調子なので、回を追うごとに老けこんでいく。実際、このマンガのなかで、ヨミ様は3回も過労死しているという。気の毒である。
こういった事例もあるから、世界征服は並大抵ではないようだ。
隙あらばオレも、なんて考えているあなた。よく考えたほうがいいですよ。
クラシックを聞き始めたころ、チャイコフスキーのバレエ音楽といえばアンセルメ、という雰囲気が漂っていた。
当時はレコードに関する情報収集の有力な手立てとして、レコードのカタログがあった。レコード屋さんに置いてあったアレである。さまざまなレコード会社のなかでは、プレヴィン、カラヤン、オーマンディ、アンセルメあたりが目立っていたわけだけど、最初の3人については、バレエ音楽だけでなく多くのレパートリーをこなしていたので、アンセルメだけはバレエの専門家、といった印象が焼き付いたのだった(もちろんこれは誤解だったわけだけど)。
その一方で、図書館でレコ芸などを読むと、スイスロマンド管弦楽団はヘタッピイであるとの意見があった。風評というものは往々にしてマイナス要素のほうが面白そうであるし、なにより人の意見を鵜呑みにする単純な輩であったから、どちらかと言えば後者を信じていたわけだ。それは、かれこれ30年ほど続くことになる。
そんなことを思い出しつつ「白鳥の湖」を聴いてみる。この演奏に関して言うと、30年前の評論家の意見はあながち間違っていない。というのは、弦楽器が荒いのだ。合奏が揃っていないところがいくつかの場面にみられる。1度聴けばわかる程度なので、セッション録音であるし誰かが気づいたのだろうが、スケジュールの関係で、そのままスルーしてしまったか。まあ、そこはちょっと残念である。
でも悪いところばかりではない。金管と打楽器はメリハリが強くて、覇気に富んでいる。歯切れがよくて軽やか。そして、なんといってもいいのは、音の匂い。ほんのりと甘い芳香が立ち昇っている。この匂いはスイスなのかフランスなのかはたまたロシアなのか、どこの産地かわからないが、メルヘンの濃厚な香りがあって、たいへんおいしいのである。技量の不足を補って余りありまくり。
ちなみに、このCDはハイライト版とはいえ80分強が収録されているので、けっこう聴きごたえがある。30年もほったらかしにして、もったいない。
1958年11月、スイス、ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホールでの録音。
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この本、期待を裏切らないものでした。前半はいろいろなアニメを引用して、面白おかしく「世界征服」について論じています。後半はややシリアスです。アメリカの戦略は、実は古代ローマの政策をモデルにしている、とか…。
笑うなら前半がオススメかと。
アニメによっては、悪の大将がなんのために世界征服をもくろんでいるのかわからないものがあると筆者は嘆いています。そんななかで、「ドラゴン・ボール」はとても論理的である、などなど。
バビル2世、ワタシもテレビを観ていました。
主題歌が好きですねえ。
「白鳥の湖」、どこのバレエ団か忘れましたが、テレビで観るとより一層すばらしかった記憶があります。
バレエの実物を観てみたいものです。
ピアノ独奏版は知りませんでした。面白そうですね!