ロト指揮レ・シエクルの演奏で、ストラヴィンスキーの「春の祭典」を聴く(2013年5月、メス・アルセナル、グルノーブルMC2、9月、フランクフルト旧オペラ座でのライヴ録音)。
これはなんとも軽やかな「ハルサイ」。
この演奏は、1913年にモントゥーの指揮で行われた初演時の楽譜(1913年初版)と楽器を再現したものだそう。
冒頭のファゴットはドイツ製ではなく、ビュッフェ・クランポン製バソンであり、その他も主にフランス製の楽器を揃えている。ナチュラル・ホルン、小型のフレンチ・チューバ、小トロンボーンなどといった楽器が登場しているらしい。
「乙女たちの踊り」は、なんとも軽快。多くの指揮者が厚ぼったくやるところ、まるで羽毛が舞うよう。なるほど、こういうやり方もあるのだな。
「春の兆し」における弦楽器群の激しいアタックはノン・ヴィブラートで奏されていると思われ、とても鋭角的な効果を出している。
「大地の踊り」、ここでは団員のほとんど全員が汗水かいているはずだが、音が混濁していない。クリアで、とても見通しがいい。
「生贄の賛美」は快速で切れ味がよく、迫力もたっぷり。ここでの金管楽器はフランス製のものが活躍しているのだろう。普段聴くものより軽いことはわかる。ただ、言われないと楽器がフランス製なのかは、わからないかもしれない。
「生贄の踊り」の最後の一音では、シンバルがぶちかまされる。初版はそうなのか。
初演当時の楽器を使用したからといって、演奏そのものの質が保証されるわけではない。でも、ロトの指揮は精彩を放ち、とても新鮮味に満ちたものであることは疑えない。オーケストラの技量も高い。
駐車場。
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