エリアフ・インバルは日本フィルの客演として70年代から
たびたび来日しており、昔からわが国で親しまれてきた指揮者です。
彼が一気にブレイクしたのは、ブルックナーの「第1稿」
シリーズを披露してからだったかと思います。
フランクフルト放送饗との「第8」をFMで聴いたときは、
驚きました。
「曲は変だが演奏はいい。」
この曲を聴いてから、小生の中では、このヒトはなんだか複雑な
ことをやる指揮者、という位置づけになりまして、それは今も
変わりません。
そうこうするうちに、ブルックナーからマーラーへとレパートリー
を開陳していき、マーラーの全集を完了した後も、
ショスタコーヴィッチやブラームス、ベルリオーズの全交響曲、
ラヴェルの管弦楽曲全集、といった仕事を仕上げて今日に至っています。
というわけで、今日はストラヴィンスキーを聴きました。
インバル/フィルハーモニア管まず「春の祭典」。
副声部が明瞭に聴き取れます。普段は前面にでてこないメロディーが
出現して(「敵対する部族の遊戯」)、はっとさせられます。
「選ばれた乙女への賛美」は躍動するリズム感が迫力満点だし、
フィナーレの盛り上がりもかなりのもの。
最強音でもヒリつかない録音もいい。
悪いところは、これといってないのですが、あまり新味は
感じられませんでした。
ブーレーズとドラティが確立したハルサイの解釈を
超えていないような…気がしました。
そして「ペトルーシュカ」(1911版)。
副声部を浮き立たせることにより、音楽に立体感と色彩感を
もたせており、鈴などの打楽器を派手に鳴らしていて、
にぎやかで華やか。
幕間のティンパニの連打も、それぞれの差異を明確にしていて、
劇的なメリハリを感じます。
楽器間のバランスを指揮者がうまくとっているようで、
フィルハーモニア管の響きに艶があって気持ちがいいです。
インバルとは相性がいいのかも知れません。
これは、かなりいい演奏でした。
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