東野圭吾の短編集「怪笑小説」より、「一徹おやじ」を読む。
これは、「巨人の星」のパロディ。語り手は一徹おやじの娘。野球選手になりたかった父の夢は息子をプロ野球選手にすることだったが、生まれたのは女。仕方がないので、娘を相手に野球の猛特訓を始める。毎朝、薄暗いときから2時間のキャッチボールを汗だくになって行い新聞配達のにいちゃんを絶句させたり、地元のリトルリーグに入れられたり。でも、その生活は彼女が小学校4年のときに終止符が打たれる。息子が誕生したのだ。
狂喜したおやじは、息子の「勇馬」に英才教育を始めるが。。。
その教育ぶりは笑えるが、よくよく思えば元ネタの「巨人の星」と概ね変わりないのである。恐るべし「巨人の星」。
ジョルジ・シフラのピアノで、ショパンのピアノ・ソナタ2番「葬送」を聴く。
この曲の演奏でわりと好んで聴くのは、ポリーニの80年代の録音と、ミケランジェリのライヴである。偶然にもふたりともイタリア人。でも彼らだから「ラテンの血が騒ぐ」的なものではなく、とても落ち着いたひんやりとするショパンである。
それらの演奏を聴いていたので、シフラのピアノを聴くと熱く感じる。
シフラはリストのスペシャリストとして有名だった。このディスクにもリストは収録されている。あと、ヴァンデルノートとやったチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番はなかなかいい演奏だったと記憶する。が、ショパンを聴くのは初めて。
冒頭から、起伏が大きい。随所に間をとったテンポの変化もそうだし、強弱のつけかたもわりと大きい。
なので、表情がとても豊か。ひとつひとつの音符が生きているようだ。3楽章は、たっぷりとしたテンポを保ちつつ、自然な抑揚をつけているから、ずっしりとした聴きごたえがある。
テクニックは、万全。
モノラル録音であるが、音質に不満はない。
1963年9月、アスコーナ、Settemane Musicaliでのライヴ録音。
森その2。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR