実に久々にポリーニのショパンを聴きました。
24の前奏曲。
74年の録音ですから、もう30年以上も前のものです。
まだ髪はフサフサ、顔はツルツルの時代です。
大きなお世話ですが。
ポリーニ 「24の前奏曲」同時期に録音されたものにアルゲリッチ盤がありますが、
彼女の天衣無縫な弾きぶりに較べると、ずっと落ち着いた、
味のあるショパンです。
較べる相手が特殊かも知れません。
ここでのポリーニは、第1級の技巧を感じさせることなく、
叙情的な音色を引き出すことに成功していて、とても
味のあるショパンを聴かせてくれます。
この頃に録音された一連のショパンやバルトークなどを聴くと、
どうも、ポリーニのスタジオ録音の絶頂は70年代だった
のじゃないか、と感じてしまうのは小生だけでしょうか。
最近出たシューマンなどを聴くと、ふーん、とため息なぞついて
散歩に出かけたくなっちゃったりします。
ポリーニの技巧と、表現するものがうまく一致していたのが
ちょうどこの時期だったのでは。
よくわかっていないのですが、なんだかそんな感じがするような
しないような…。
ただ、彼のライブ公演は別です。
89年に東京文化会館で「ハンマークラヴィーア」を聴きましたが、
(旧い話で恐縮です)これは、もう、素晴らしかった!
楽章間のインターバルがなく、全曲を通して弾いたことにより
ビシッとした緊張感がありました。特に両端楽章の、ミスも辞さない
情熱あふれた弾きっぷりがすごい迫力で、参ったものです。
スタジオ録音とは、まったく別物でした。
かように、このピアニストは、スタジオとライヴとでは全く違う、
という印象があります。
彼ももう60半ばですから、これからどんな芸風に変貌していく
のか、楽しみでもあり、ちょっと不安でもあります。
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