西原理恵子の「生きる悪知恵」を読む。
これは、人気漫画家による人生相談。漫画と同様に勢いのある回答は、切れ味が鋭いだけではなく妙に理にかなっており、納得するところが多い。
仕事編、家庭編、男と女編、性格編、トラブル編とにわかれていて、わりと汎用的な質問が多いのも読みやすい理由である。
笑ったのは、就職した会社がブラックだったという男性に対する回答。
著者は、辞めろと勧める。
「もう二度と会わないと思えば、どんなに嫌われたっていいんだから。後ろ足で砂かけて、何なら内容証明で辞表送って、「立つ鳥跡を濁す」でいいの。よく相手を傷つけないように離婚しようとするバカな男がいるけど、絶対嫌われるんだから。クソのように言われてナンボ。伊集院静さんが言ってましたね、「このろくでなし!」と思われて別れるのがコツだって。まあ、あの人は確かにろくでなしそのものなんですけど」。
サカリ・オラモの指揮で、シューマンの交響曲3番「ライン」を聴く。
オラモは1965年にフィンランドで生まれた指揮者。ストックホルム・フィルの首席指揮者とフィンランド放送交響楽団の首席指揮者、及びコッコラ歌劇場の首席指揮者を兼任している。
今まで北欧の音楽を中心に録音活動をしてきたようだが、私は彼を聴くのは初めて。
これは、とてもキビキビした足取りのシューマンである。対抗配置になっている弦楽器は艶やかでしっとりしているうえに、活気がある。キザミがキラキラと輝いていて美しい。シューマンの交響曲は、往々にして弦楽器の出来がよいとオーケストレーションの問題を感じさせないが、この演奏もそう。
若々しく描かれた水彩画の風情。
そっと雪を踏みしめるように奏される3楽章、厳かでありつつも透明感のある4楽章、そしてジュリーニ、P・ヤルヴィの流れをくんでレガートで始まる終楽章、どれもしっかりと手入れがいきとどいており、丁寧。
このCDは全集であり、他の番号もいい。
いままでシューマンの交響曲を、クーベリック(ベルリン/バイエルン)、メータ、カラヤン、シノーポリ、バレンボイム、バーンスタイン(ニューヨーク/ウイーン)、ジンマン、ハイティンク、サヴァリッシュ、ムーティ、セルなど聴いてきたが、オラモの演奏はそれらのどれにも引けをとらないどころか、最上位に位置すると思う。
サカリ・オラモ指揮
ロイヤル・ストックホルム・フィル
録音:2009年1月、ストックホルム、コンサートホールでの録音。
海辺の観覧車。
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