嵐山光三郎の「海賊の宴会」を読む。
これは、食に関するエッセイ。
カドにて拝読。
レタスのおいしい食べ方について。レタスをちぎって皿に入れ、そこへ醤油と胡麻油をかけて、指でゴワゴワとかき回す。
「すると、レタスという性格の悪い野菜が禅を二十年修行したドイツ系ノルウェイ人みたいにピーンと生き返るのである」。
著者は、レタスに対してよい評価を与えていない。
「なにより気にくわないのは、オツにすました風体だ」。
「レタスをいかにしてぐれさすか、こいつが課題だった」わけだが、それに成功したのである。
確かに、なかなかいける。
このレタスの章の他に、「雲を食べたい」、「冷や飯を食う」、「哀しい酒」、「月とスッポン」など、独特の味があって面白い。
エッシェンバッハの指揮で、シューマンの交響曲2番を聴く。
これは全集のなかのひとつで、一番優れているかと思う。
1楽章はなかなか快活で、テンポのちょっとした変化がとても自然に馴染む。
2楽章はスピード感がある。オケの響きが重厚なので、大型トレーラーが高速道路を疾走しているかのよう。
この演奏の聴きどころは3楽章だろう。テンポこそ中庸であるが、じっくりとタメを利かせて厚みを持たせている。オーボエとファゴットの絡みは感動的なまでに素晴らしい。クラリネットも味が濃い。弦楽器の泣きは大げさだけど、面白い。
終楽章は、たっぷりと贅肉がついておりボリュームが多い。勢いがあるが、少しものものしい。
恰幅のよい赤ら顔のシューマンだ。
北ドイツ放送響は小回りはあまり利かないものの、ずっしりと重い堅実さがある。
1998年11月,12月,1999年2月、ドイツ、リューベック、コングレスハレでの録音。
横断歩道。
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