井原西鶴(島田雅彦訳)の「好色一代男」を読む。
「生涯で戯れた女性・3742人、男性・725人 色好みの男・世之介の一代記」
500億円もの大金を母親から譲り受けた世之介は、それを明けても暮れても放蕩に費やす。
その放蕩ぶりは、ひとつが2,3ページのエピソードになっている。時系列に並んでいるものの、前後の関連性は薄い。短いルポの集成みたい。
世之介は全国を旅しながら毎晩のように遊興にふける。ときには、一晩に10人以上の女を侍らせる。これを読むと当時はいかに遊郭が多かったかがわかる。
ただ、個々のお話しはまったく色っぽくない。エロを期待していたのに、これは肩透かしだ。濡れ場はほとんどない。
むしろ、琴や三味線、羽子板、浄瑠璃本といった遊び、あるいはお椀に茶漬、雁の板焼きに鰯の干物、といった食事のシーンがふんだんに盛り込まれていて、江戸時代の濃厚な匂いを感じることができる。
そのあたりが読みどころのようだ、悲しいことに。
クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏で、シューマンの交響曲4番を聴く(1960年5月、ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音)。
これは、ゴツゴツとした手触りのある無骨な演奏。
カップリングの「ライン」は、比較的ゆっくりとしたテンポの悠揚迫らざる演奏だが、こちらは速度は中庸、キビキビザクザクと進む。
弦楽器、金管の音が太い。しっかりと鳴りきっている。迷いなし。見通しは良く、副声部がきちんと聴こえる。
ラストは快速で走りぬける。
全体を通して、精力絶倫のシューマンといった感じ。
パースのビッグムーン。
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