忍者ブログ

"女郎蜘蛛"、メータ、シューマン"2番"

2014.09.13 - シューマン

schu



パトリック・クェンティン(白須清美、訳)の「女郎蜘蛛」を読む。
これは、シンプルにして丁寧に仕上げられている上質のミステリー。本書についての詳細は、ご紹介いただいた木曽のあばら屋さんの記事を参照いただくとして、ここではほんのサワリだけを紹介する。

殺人容疑の疑いがかかり窮地に立つ主人公が、刑事にアリバイを問われるときの会話。事件当時に映画を観ていたと云う主人公に対し、

「どんな映画です?」
「『ハッピー・エンディング』です。信じられない題名ですが」

欧米のミステリーは、シリアスな場面でもなにげなくユーモアが挿入されていることが多く、このあたりの手腕はさすがである。








メータ指揮ウイーン・フィルの演奏で、シューマンの交響曲2番を聴く。

高校生の時まで、LPは秋葉原の石丸電気で買っていた。自転車で行くことのできる距離にあったし、購入すると10%のクーポン券がもらえた。
でもなんといっても大きな魅力は、品揃えの豊富さと丁寧なサービスだった。
広い店内にびっしりと並ぶレコードを隅から隅までずずいっと眺め、目的地を定めてさんざん迷った挙句、選んだ一枚をおもむろにカウンターに持っていく。石丸の販売は、店頭に置いてあるものをわざわざ裏にある在庫から取り出して盤面のチェックをして客に渡す、という習わしであった。だから、店員が在庫から新品をもって来る間、しばらく待つことになる。すると、「テバルディのアイーダのお客様!」とか「イムヂチの四季のおきゃくさまあー!」といった具合に呼ばれるのである。よって、誰が何を買ったのかがわかるというわけ。

中学生だったあるとき、レコードを求めみんなで待っていると、店員が叫んだ。「メータのシューマン2番とマンフレッドのお客さまー!」。
渋い。
当時はシューマンの交響曲を1番と4番、ギリギリ3番を知っていたくらいで、2番は聴いたことがなかった。手をあげたのは、自分と同じくらいの年齢で、若い時の中上健次のような風貌の少年。
「こやつ、只者ではない」とひとちごちたことは言うまでもない。

メータのシューマン2番を取り出すたびに、彼のことを思い出す。
まだクラシック音楽を聴いているだろうか。


1981年、ウイーンでの録音。




冷やし中華とツイッター始めました!




ma


雨の港。










PR
   Comment(3)    ▲ENTRY-TOP

Comment

無題 - リベラ33

私も当時はアキバの石丸電気レコード館で購入していました。購入金額に応じてオマケがもらえましたが、チョコが結構おいしかったのを覚えています。
明日の先発はマサ、BSで放送がありますね。
2014.09.13 Sat 22:27 URL [ Edit ]

そうでしたか。 - 管理人:芳野達司

リベラ33さん、こんにちは。
石丸のレコード館は量・サービスともに充実していて、いいレコード屋さんでした。当時、会っていたかもしれませんねー?
今日はマサですね。ビール片手に応援します。
2014.09.14 12:06

無題 - アソー

お久しぶりです。シューマンの2番、いい曲ですよね。
クラシック聴き始めの頃読んだ本には、シューマンの2番は訳が解らない、難渋な曲、みたいな書き方がしてあって、ずっと敬遠していたのですが、社会人になってから、カザルスの指揮したCDを聴いて、この曲が好きになりました。特に第三楽章が求心的ですし、最終楽章も人生肯定的で感動的ですね。この曲、バーンスタインが得意としていて、ニューヨークフィルの旧盤の米コロンビア盤のLPを探しています。ラインも四番も素晴らしいんですよ。
石丸電気はLPをビニールでパックして陳列していて、レジ迄持って行くと新品在庫を奥から出して来ましたね。店に無いと他の店に問い合わせてくれて、何号店で在庫があるのでお取り置きしておきます、みたいな案内をしてくれたのを覚えています。
メータのシューマンはVPOの1,4番がカップリングされたLPが、ウィーンフィルの美音を捉えた美しい録音で印象に残っています。
2014.09.13 Sat 22:47 [ Edit ]

シューマンはよいですね。 - 管理人:芳野達司

アソーさん、こんにちは。
シューマンの2番は、シノーポリ/ウイーンで目覚めました。あとアンセルメが意外にいいので驚きました。バーンスタインのシューマンは安定してますね。ウイーン・フィルとのものも悪くないですが、ニューヨークのもののほうが好きです。ただ、2番の旧盤はまだ聴いていません。評判いいですね。
石丸電気、行かれましたか。LP時代のいい思い出です。あの店がなければLPを集めなかったかも?
メータのシューマンはどれも質が高いです。数年に一度は取り出します。
2014.09.14 12:12

東京創元社がんばれ - 木曽のあばら屋

こんにちは。
創元推理文庫は最近オールド・ミステリの発掘に力を入れていて、
個人的には嬉しい悲鳴をきゃあきゃあ状態です。

マーガレット・ミラー、ヘレン・マクロイの未訳作品も最近出て、
どちらもなかなか面白かったです。
2014.09.13 Sat 23:49 URL [ Edit ]

目覚めました。 - 管理人:芳野達司

木曽のあばら屋さん、こんにちは。
最近は地元の本屋さんに行くと、創元推理文庫を一通りチェックしています。昨日はかねてから気になっていた「死の蔵書」を買いました。
仰るように、ここ数年の間に新訳がポツポツ出ているようですね。
また面白い本のご紹介を楽しみにしてマス。
2014.09.14 12:15
コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
4 5 6 7 8 9
11 12 13 14 15 16
18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新TB
カテゴリー