シューマン ピアノ独奏曲全集 デムス1.Nicht zu schnell
2.Mit innigem Ausdruck
3.Andantino - Etwas schneller
4.Innig
5.Nicht zu schnell
6.Adagio
ペダル・フリューゲルとはなんぞや。
パイプオルガンのように多数のペダルがあり、低音域を奏することのできるピアノである、らしい。
パイプオルガン並みの声部数を奏することが可能なので、カノン、フーガといった対位法的な音楽を演奏するのに向いているとのこと。
通常のピアノと、どこが違うのかひまひとつわからないから、デムスの演奏でこれを用いているのかどうか定かでないが、たぶん普通のピアノを使っているのではないかと思う。
これを最初に聴いたとき、そういう先入観がなかったので(なにしろ題名もろくに読んでいない)、シューマンの他の多くと同じ、ピアノのための音楽だと疑わずに聴いていた。
違和感はない。これはデムスの弾くシューマンだった。
技の冴えとか、音の鮮烈さで勝負するのではなく、少しくすんだ音色で、おっとりとしたピアノを聴かせる。
この小さな曲集には、シューマンの世界がぎっしりとつまっている。独特の仄めかされた表情、幻想味がふんだんに盛り込まれている。
デムスの適度な距離を置いた生真面目さが、シューマンの味わいをうまく引き出しているとみた。
この全集のなかでも、光彩を放つ曲、演奏のひとつだと思う。
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