ジャン=フィリップ・コラールのピアノで、シューマンの「交響練習曲」を聴く(1976年7月20日、パリ、サル・ワグラムでの録音)。
これは、淡い叙情を湛えた演奏。
問題となる遺作は5曲収録されている。挿入はまとめてではなく、それぞれがばらばらに配置されている。なので、普段聴くときとは各曲の出かたが違っていて面白い。遺作はどれもいい曲だから、どこに挿入されようと、全曲そろっているとありがたいという思い。なかでも好きな5番は、フィナーレの前に置かれている。この組み立てはなかなかいい。
コラールは硬いタッチを生かした、明快な音づくりをしている。テクニックは盤石。気持ちがいいくらいに流麗に弾く。
ただ、シューマン独特の気だるさや仄めかしの味は薄い。すっきりとしていて爽やかささえ感じるピアノ。肩で風を切るようなシューマン。これはこれでユニークな味わい。
パースのビッグムーン。
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