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ケンプ、シューマン、"謝肉祭"

2018.09.01 - シューマン

bizet



ウィルヘルム・ケンプのピアノで、シューマンの「謝肉祭」を聴きました(1971年3月、ハノーファー、ベートーヴェン・ザールでの録音)。

ケンプを最初に聴いたのは、40年近く前のことで、確かステレオのベートーヴェンの協奏曲。切れ味に乏しいと感じ、あまりいい印象を受けませんでした。少しあとに聴いたベートーヴェンのソナタもそう。
そんなことがあり、しばらく彼から遠ざかっていましたが、数年前にたまたまモノラル録音のベートーヴェンの後期ソナタを聴いて軽いショックを受けました。堅固なテンポと重厚なソノリティ、曲に対する深い畏敬。いままで聴いたものはなんだったのか? というよりも、自分の感じ方が変わったと解釈するほうが正確かもしれません。

この「謝肉祭」は彼が75,6歳のときに録音されています。セッションでありながら、テクニックは万全とは言い難い。でも、ひとつひとつの音符を慈しんでいる。タッチは真綿のように優しい。夢のような淡い霊感もある。愁いも湛えた仄めかし。思いつく限り、シューマンの音世界を十全に備えた演奏だと思います。
いままでこの曲を聴くのにミケランジェリ盤(DG)、ルイサダ盤をよく取り出していましたが、このケンプ盤も加わりそうです。

この4枚組ボックスは神保町のディスク・ユニオンで購入、他には主に「交響練習曲」、「クライスレリアーナ」、「幻想曲」、「フモレスケ」、「ソナタ2番」などが収録されています。
これから折をみて聴いていきます。












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Comment

ウィルヘルム・ケンプ - neoros2019

還暦前後になってはじめて気付くケンプの奥の深さとでも言うんでしょうかね。
福島章恭氏や学生時代の同僚シューベルト愛好家もその魅力に触れていました。
愛好家は未完のD566のケンプ演奏がたまらないとのたまっております。
内田光子は当然としてブレンデルともシフとも異なる氏のD960は別世界ですね。
2018.09.02 Sun 06:55 URL [ Edit ]

Re:ウィルヘルム・ケンプ - 管理人:芳野達司

neoros2019さん、こんにちは。
歳を重ねないとわからない演奏があることを、最近になってしみじみ感じています。
D960は、それまでもっぱらリヒテル盤ばかりを取り出していましたが、数年前にケンプのを聴いて度肝を抜かれました。
D566はまだ未聴です。全集がほしくなりました。
2018.09.02 10:04
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